高齢者の悪性リンパ腫

悪性リンパ腫(malignant lymphoma)は、リンパ腫ががん化したいわゆる血液のがんの1種です。悪性リンパ腫は、若年者においてもしばしば見られる悪性腫瘍ですが、一般の固形がんと同様に加齢とともに悪性リンパ腫の発症も増加しています。10万人に12~15人と考えられています。特に高齢者に特有なEBウイルス(Epstein Barr virus; EBV)が関与する悪性リンパ腫には次の2種類があります。


1.老人性EBウイルス陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、膿胸関連リンパ腫

2.単クローン性B細胞増殖症、in situ 濾胞性リンパ腫


EBウイルス(EBV)は、ヘルペスウイルス4型(human herpes virus 4; HHV-4)と呼ばれるヘルペスウイルスの一種です。3歳までに80%が初感染を受けますが、太宗は不顕性感染となります。不顕性感染とは、感染はするものの臨床症状を呈さない感染様式のことです。つまり発病しない感染ということです。思春期になってEBVに初感染を起こすと伝染性単核球症を発症しやすいです。したがって成人のほとんどがEBVの既感染者です。感染後、EBVは不顕性感染として体内のリンパ球に残存します。不顕性感染したEBV陽性細胞では、EBV遺伝子の発現が抑制されているために、NK細胞や細胞傷害性T細胞などの免疫監視から逃れると考えられています。


臓器移植後、HIV感染、関節リウマチに対するメトトレキサート(methotrexate)の投与後など、免疫能が低下した際にEBVの再活性化が起こり、B細胞増殖が起こります。ひいてはB細胞リンパ腫が発生することが知られるようになりました。それゆえ日和見リンパ腫(免疫不全関連リンパ増殖性疾患、Immunodeficiency-associated Lymphoproliferative Disorders)ともよばれます。


免疫能低下は、通常の加齢によっても起こります。明らかな免疫不全がなくても50歳以上でEBV陽性B細胞増殖疾患が認められます。これが、老人性EBウイルス陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫です。高齢になるほどリンパ腫の中でEBV陽性の割合が増え、90歳を超えると25%以上となります。また、慢性膿胸や骨髄炎など長期間にわたり局所の慢性炎症が持続すると、ごくまれにリンパ腫が発症します。これを慢性炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL associated with chronic inflammation)といいます。


したがって以上のことから、高齢者の悪性リンパ腫の発症には、EBウイルス感染、加齢と慢性炎症が関与していると思います。EBウイルスの感染時期は思春期以前が大半であると考えられることから、感染からリンパ腫発生までに非常に長い年月を要します。この非常に長い不顕性感染あるいは潜伏感染のためには、感染したB細胞が長期間生存することが必要です。免疫の記憶が長期間にわたって維持されるという免疫系の利点が、高齢者の悪性リンパ腫の発症の基礎にもなっていると考えられます。そして高齢者の悪性リンパ腫による死亡件数も今後増加するものと思います。

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