医学豆知識メルマガVol. 198 腸閉塞

食物は口から入り、食道、胃、小腸、大腸と通過する間に消化液の分泌により消化され、腸管からの吸収により、最終的に肛門から排泄されます。腸管を通過する間に、何らかの原因で内容物が停滞する疾患が腸閉塞です。内容物が腸管に滞り、徐々に口に向かっていくため、腹部膨満、腹痛、便秘、吐き気、嘔吐が出現します。絞扼性腸閉塞の場合は突然の腹部の激痛や、発熱頻脈、顔面蒼白等の症状も加わります。


分類

大きく、機械的(閉塞性と絞扼性)と機能的(麻痺性と痙攣性)に分類されます。

機械的腸閉塞には、以下があります。

1.腫瘍による閉塞、炎症や瘢痕による狭窄、先天性の奇形、術後の癒着、周囲からの

圧迫、異物や寄生虫等により腸管が単純に詰まってしまうもので、閉塞性腸閉塞

(単純性腸閉塞)と呼ばれるもの


2.索状物で腸が締め付けられたり、腸が捻じれたり、結合することにより、腸重積、

ヘルニア嵌頓(かんとん)等、腸の血流が障害され、腸管が壊死を起こすような

重篤な絞扼性腸閉塞(複雑性腸閉塞)


機能的腸閉塞には、以下があります。

1.腸炎、腹膜炎、薬剤、術後の影響、血中電解質異常等で腸管の動きが悪くなる

麻痺性腸閉塞と言われるもの


2.自律神経の異常等で、腸管が一部、痙攣性に収縮して内容物が流れなくなる

痙攣性腸閉塞



イレウスとは(参考)

厳密には、機械的閉塞のない機能性腸閉塞の方をイレウスといい、急性腹症診療ガイドラインでも腸閉塞とイレウスを使い分けることが提案されていますが一般的には腸閉塞=イレウスと同義語として使われる事が多いようです。


疫学

腸閉塞の中で最も多いのは、機械的腸閉塞のなかの癒着性イレウスで、この中でも特に多いのが、手術後の術後癒着性腸閉塞です。この癒着は、腸管同士、腸管と隣接臓器、腸管と手術創部が癒着にすることにより生じる腸閉塞で、腹部手術の50~90%の人は腸管の癒着を起こすといわれています。癒着は、手術当日から始まり、1~2週間程で生じるとされ、一度癒着が起きると数ケ月~2・3年で癒着性腸閉塞になる人が多いといわれます。しかし、5年以上まれに10年以上経過してから癒着性腸閉塞を発症する人もいます。


診断

症状から疑い、腹部の手術の有無、薬剤の有無を確認します。診察では、腸蠕動、腸雑音、腹部膨満、腹膜刺激症状等を確認します。レントゲンでは、腸管の拡張やニボー(腸管内におけるガスと液体の境)の有無を確認し、造影CTでは閉塞部位や程度、血行障害の有無を評価します。超音波検査も、腸管内の貯留物の程度や腹水の有無、腸蠕動の低下・亢進等を確認できます。血液検査では、感染を伴っていれば白血球やCRPの上昇や、脱水によるヘモグロビン、BUN、クレアチニンの上昇を認めます。


治療

一般的には、単純性腸閉塞や機能的腸閉塞の場合には、絶食、輸液、イレウス管の留置にて詰まっている内容物やガスを体外へ出すことで自然解除する場合が多いのですが、1週間以上経過する場合や、繰り返す場合には、手術をします。癒着を剥離したり、捻じれを戻したり、繰り返し閉塞する腸管を切除して吻合する手術を開腹、または腹腔鏡で行います。絞扼性腸閉塞の場合は、腸管の血流障害により、壊死、穿孔、腹膜炎、敗血症性ショックとなり死に至ることもあるので早急な手術が必要です。


予後

死亡率については、頻度の多い癒着性腸閉塞では1.4%と低いのですが、腸閉塞が原因で死亡することもあるため、全体では6.7%であり、最も緊急性のある絞扼性腸閉塞では、7.4%と高率です。死亡原因としては、術後の縫合不全や腹膜炎、術後肺炎、敗血症等が挙げられます。絞扼性腸閉塞の再発率は40%(腸の健康.net)といわれており、腸閉塞の手術をしてそれが原因で再び腸閉塞になるという悪循環になります。また開腹手術(7~8%)よりは少ないのですが、腹腔鏡下の手術でも2~3%で腸閉塞が生じるというデータ

もあります(日本外科学会定期学術集会より)。


引受査定のポイント

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既往症について、手術後1年(手術していない場合は2年)以内は、死亡保険については保険金削減、医療保険は部位不担保等の条件付での引受を考慮したほうがよいでしょう。


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