医学豆知識メルマガVol. 197 髄膜腫

髄膜とは、頭蓋骨の内側にあり、脳を包み込んでいる軟膜、クモ膜、硬膜の総称で、髄膜腫とはクモ膜の表面を覆うくも膜細胞から発生する腫瘍です。多くは良性で、最も頻度の高い原発性脳腫瘍です。近年の日本脳腫瘍統計では脳腫瘍全体の20数パーセントを占め、1位となっています。男女比は約3:7で女性に多く、ピークは60歳代です。髄膜腫はWHO分類では悪性度により3段階のグレードに分けられますが、殆どの髄膜腫はグレード1に属します。中間型悪性度を示すグレード2の異型髄膜種は約4~7%、グレード3の悪性髄膜腫は約1~3%の頻度と極めてまれです。

症状

腫瘍のできる場所により症状は異なります。小さいうちは殆ど無症状ですが、大きくなるにつれ脳の圧迫症状が強くなります。頭痛、吐き気、嘔吐などが一般的ですが、大きくなるにつれて、けいれん、物忘れや認知症の様な症状、歩行障害が生じます。大脳鎌や矢状洞近くにできると、手足の麻痺やけいれん、鞍結節部や蝶形骨縁では視神経が圧迫されることによる視力障害や視野障害、後頭蓋窩では顔面の知覚障害、顔面神経麻痺、眼球運動障害等がみられます。


種類

症状の違いや、治療方法や難易度も異なるので腫瘍のできる場所による分類があります。

1、円蓋部髄膜種:前頭部、側頭部、後頭部といった頭の上半分の頭蓋骨裏側に出来る

  髄膜腫です。

2、傍矢状洞髄膜腫:頭の正中線上にある静脈洞に接している髄膜腫です。

3、大脳鎌髄膜腫:左右の大脳を隔てる大脳鎌という膜にできる髄膜腫です。

4、テント髄膜腫:大脳と小脳や脳幹を隔てるようにあるテントという膜にで

  きる髄膜腫です。

5、鞍結節部髄膜種:頭蓋底髄膜腫の一種ですが、視神経の近くに出来るのが特徴的です。

6、蝶形骨縁髄膜腫:これも頭蓋底髄膜腫の一種です。

7、頭蓋底髄膜腫:頭蓋の下半分に出来る髄膜腫で、前頭蓋底、中頭蓋底、後頭蓋底と

  分かれており、症状や治療の難易度が異なります。

8、脳室内髄膜腫:唯一、脳の中に出来る腫瘍で摘出する為には必ず脳を切開する必要が

  あります。


診断

頭蓋単純撮影では、腫瘍が付着している部位の骨が厚くなる像や石灰化がみられることがあります。CTでは造影剤により増強されます。MRIでも同様ですが、造影剤を使用しなくても、CTよりも感度が高く、特に後頭蓋窩など厚い骨に囲まれている部分の診断力は優れています。造影剤を使用すると、より強くはっきりと抽出されます。脳血管造影は、治療する際に血管と腫瘍との関係を見る時に行われることもあります。


治療

無症状で腫瘍が小さい場合には、多くは定期的に経過観察されます。また、今は小さくても将来的に大きくなって症状を起こす可能性がある場合や、既に症状が出てきている場合、脳浮腫が生じている場合等は摘出術が行われます。この場合、腫瘍だけではなく、周囲の硬膜や骨等を一緒に摘出しないと再発率が高くなります。場所的に摘出手術が難しい場合や手術で腫瘍を全て取り切れなかった場合には定位放射線治療(ガンマナイフ等)が行われます。


再発指標

手術で摘出された髄膜腫について、その増殖能の評価を免疫組織染色のMIB-1indexという指標で診断します。この値が3%以上だと再発しやすいと報告されています。悪性はもちろんですが、良性でもMIB-1indexが高値の腫瘍は長期にわたり頭部MRIを用いて慎重に経過をみる必要があります。


予後

全体的な5年生存率は93%と良好です。再発率は腫瘍の悪性度により変わってきます。グレード1の良性髄膜腫では、手術で完全に摘出できれば完全治癒を期待できます。グレード2、グレード3の悪性化傾向を示すものでは、30~80%が再発するといわれています。腫瘍の切除範囲とその再発率では、腫瘍の全摘出に加えて、硬膜付着部や異常骨を除去したり電気凝固した場合の再発率は9~19%で、全摘出しても、付着部や骨に何の処置を加えなかった場合は29%、部分切除の場合は44%というシンプソングレード分類があります。


引受査定のポイント

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現症は死亡系も医療も延期です。既往症の場合、悪性が否定され後遺症等もなければ、死亡保険は保険料割増等の条件付~標準体での引受も考慮できますが、医療保険は引受は延期とした方がよいかもしれません。


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