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良性腫瘍

良性腫瘍とは、病理学的に悪性所見のない腫瘍であり、自律的増殖はするものの発生部位に限局する膨張性増殖を示します。転移や浸潤は起こしません。発がん機構は多段階と考えられ、良性腫瘍と悪性腫瘍の境界は必ずしも明確とはいえません。たとえば大腸ポリープでは、数mmのポリープは腺腫であることが多いが、10mmを超えると高い確率で腺癌細胞が現れ大腸がん化します。つまり悪性腫瘍は良性腫瘍の中から発生することも多いのです。





また、病理診断学的に良性腫瘍の診断であっても、臨床的に予後良好を意味するものでもありません。脳腫瘍の一つである低異型度髄膜腫が脳幹部に発生すると治療困難であり、脳幹を圧迫して予後不良であるため臨床悪性と考えられます。一般に新契約の引受査定では、脳腫瘍は悪性腫瘍に準じた査定となるのはこのためです。


ICD10の分類によると、第2章の新生物はC00からD48であり、この中にD10-D36良性新生物として定義されています。次のとおりです。


D10 口腔及び咽頭の良性新生物

D11 大唾液腺の良性新生物

D12 結腸、直腸、肛門及び肛門管の良性新生物

D13 消化管のその他及び部位不明の良性新生物

D14 中耳及び呼吸器系の良性新生物

D15 その他及び部位不明の胸腔内臓器の良性新生物

D16 骨及び関節軟骨の良性新生物

D17 良性脂肪細胞性新生物(脂肪腫を含む)

D18 血管腫及びリンパ管腫、全ての部位

D19 中皮組織の良性新生物

D20 後腹膜及び腹膜の軟部組織の良性新生物

D21 結合組織及びその他の軟部組織のその他の良性新生物

D22 メラニン細胞性母斑

D23 皮膚その他の良性新生物

D24 乳房の良性新生物

D25 子宮平滑筋腫

D26 子宮のその他の良性新生物

D27 卵巣の良性新生物

D28 その他及び部位不明の女性生殖器の良性新生物

D29 男性生殖器の良性新生物

D30 腎尿路の良性新生物

D31 眼及び附属器の良性新生物

D32 髄膜の良性新生物

D33 脳及び中枢神経系のその他の部位の良性新生物

D34 甲状腺の良性新生物

D35 その他及び部位不明の内分泌腺の良性新生物

D36 その他の部位及び部位不明の良性新生物


なお、D37-D48は、性状不詳又は不明の新生物です。この中には境界悪性も含まれることから、引受査定では悪性として取り扱われる新生物があります。生命保険の普通保険約款においても次のような疾患は悪性と見なしている約款があります。


D45  真性赤血球増加症

D46  骨髄異形成症候群

D47.1 骨髄増殖性腫瘍

D47.3 本態性血小板血症

D47.4 原発性骨髄線維症


良性腫瘍の進行は、緩慢で、カプセル(被膜)に被われています。限局性で、他の組織を破壊や侵襲はしません。腫瘍自体は良性でも、頭蓋内・気道にできたものやホルモンを産生するものなど放置すれば、重大な障害を起こし死に至るものもあります。手術により摘出するものとしないものがありますが、良性の大腸ポリープから大腸癌へ移行するように、良性腫瘍が悪性化する場合があることから、通常は摘出が望ましいです。外科手術による良性腫瘍の完全摘出は、通常、治癒と同義です。 よって生命保険の引受査定は標準体となりますね。


良性腫瘍の種類としては、嚢胞(cyst, 真の意味での腫瘍ではない)、線維腫(fibroma)、腺腫(adenoma)、脂肪腫(lipoma)、筋腫(myoma)、骨腫(osteoma)、軟骨腫(chondroma)、神経腫(neurinoma)、あるいはこれらの複合の、筋線維腫(myofibroma)、腺筋腫(adenomyoma)、血管腫(hemangioma)、リンパ管腫(lymphangioma)、基底細胞腫(basalioma, 皮膚の基底細胞腫瘍)等があります。



良性腫瘍の切除術後と言っても、再発しやすいものもあります。術後の一定期間を経過した被保険者を引き受けることにした方が良いと思います。手術による合併症を起こすこともあります。手術部位感染(surgical site infection; SSI)などその最たる例でしょう。SSIは、手術操作が直接加わった部位にみられる感染で、術後に高頻度で認められる感染症です。 ふつう術後30日以内に発症する感染を指します。また開腹手術後では、癒着性イレウスを起こすことも知られています。医療保険の引受査定については、ふつう術後3カ月から6カ月程度経過した被保険者の保険申込を引き受けることになります。もちろん術後、合併症や後遺症なく完治していることが前提です。











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