医学豆知識メルマガVol.214 むずむず脚症候群(RLS)

むずむず脚症候群(restless legs syndrome:以下RLS)は、夕方や夜間の睡眠時に脚がむずむずする様な感覚が出現し、不快でじっとしていられず、常に脚を動かしたいという欲求を感じ、脚を動かすことで不快感が軽減・消失する原因不明の疾患です。



原因

夕方から深夜にかけて椅子やベットでじっとしていると虫が這うようなむずむずとした不快感、痛み、かゆみ、ピリピリする、ジリジリする不快な感覚があり、半数の方は、就寝時に脚が周期的に痙攣する周期性四肢運動障害を合併するので、睡眠を妨げたり、睡眠が浅くなり日常生活に影響が出ます。

原因・疫学

はっきりとした原因は分かっていませんが、マグネシウム不足、鉄分やドーパミンの分泌不足、ビタミンD不足や、カフェインやアルコール、タバコなどが誘発を増強するといわれています。遺伝的な体質の可能性も指摘されています。日本神経治療学会の調査では、RLSの有病率は4%で、女性(4.9%)が、男性(3.0%)よりも多いです。また、全体的に睡眠障害を伴う例が多いことが分かっています。


検査と診断

問診で、脚の不快感の時期や性質、脚を動かすと軽快するか、基礎疾患がないか等を聞き総合的に診断しますが、国際レストレスレッグス症候群研究グループ(IRLSSG)の診断基準としては、以下の5項目があります。

1.脚を動かしたいという強い欲求が存在し,また通常その欲求 が,不快な下肢の

異常感覚に伴って生じる。

2.静かに横になったり座ったりしている状態で出現,増悪する

3.歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する

4.日中より夕方・夜間に増強する。

5.これらの特徴を持つ症状が、他の疾患・習慣的行動で説明できない。


血液検査では、フェリチン低下により体内で鉄分不足がないかを確認します。

必要があれば、終夜睡眠ポリグラフィー検査装置で、脚が周期的に痙攣する周期性四肢運動障害を確認します。末梢神経の異常を確認するため神経伝導検査をしたり、脳・脊髄疾患の鑑別の為MRIをすることもあります。

鑑別疾患

運動中枢症候群、多発神経障害、線維筋痛症、睡眠時ミオクローヌス、カウザルキー・ジストニア症候群、下肢の血管障害(跛行、静脈うっ血)、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、低血圧性アカシジア、感情障害、感覚障害等

治療と予後

カフェインを排除したり、アルコールや喫煙を控えたり、脚のマッサージや適度な運動などの生活改善が有効とされています。また、睡眠環境を整え、規則正しい睡眠時間により精神的ストレスを軽減することも重要です。


ドーパミン作動薬はパーキンソン病の治療薬ですが、RLSの治療にも使用されます。

ベンゾジアゼピン系薬剤や抗けいれん剤、リリカ、トラマドールなどの疼痛治療剤、漢方薬が使用されることもあります。なお、睡眠薬や抗うつ薬の処方では、むずむず感が解消されないまま眠気だけが増し、かえってRLSの症状を悪化させる可能性があります。


薬物療法は、急にやめると症状が悪くなることがあるので、長期にわたる治療が必要ですが予後は良いとされています。また、発症して2年後の調査で、無治療でも改善していた人が約半数もみられたという研究結果もあります。妊娠中は発症しやすくなりますが、多くは出産後すぐに症状がなくなります。

二次性RLS

他の疾患などが原因となって起こる二次性RLSがあります。

パーキンソン病、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症、ミエロパチー、家族性痙性対麻痺などの神経疾患や、鉄欠乏、腎不全(特に透析)、糖尿病、妊娠、線維筋痛症に伴うもの、関節リウマチ、シューグレン症候群、強皮症などの膠原病に伴うもの、クローン病、慢性肝疾患、COPD、サルコイドーシス、副甲状腺機能亢進症、甲状腺疾患、吸収不良症候群、胃切除後等、多彩な疾患があげられます。

引受査定のポイント

現症については、死亡保険は割増~標準体での引受、医療保険は延期としたほうがよいでしょう。既往症についてはいずれも標準体で引受で問題ないでしょう。

二次性RLSの場合には、基礎疾患も加算して査定します。


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