医学豆知識メルマガVol.211 月経前症候群-PMS

月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)とは、月経前3~10日の間に続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。(日本産婦人科学会HPより)日本では月経のある女性の約70~80%が月経前に何らかの症状があると

いわれていますが、生活に困難を感じる程強いPMSを示す女性は5.4%といわれており、特に思春期の女性にPMSが多いといわれています。



症状

精神神経症状として、情緒不安定、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害等が、自律神経症状として、のぼせ、食欲不振、過食、めまい、倦怠感等、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、腹部の張り、乳房の張り等があります。

とくに精神症状が強く生活に支障を来すような場合には、月経前不快気分障害(Premenstrual dyspholic Disorder:PMDD) の可能性もあります。


原因

はっきりとした原因は分かっていませんが、女性ホルモンの変動が関係していると考えられています。排卵から月経までの黄体期には、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲストロン(黄体ホルモン)が多く分泌されるのですが、この黄体期の後半に、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下することで脳内ホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、

PMSの原因と考えられています。ただ、それだけではなく、ストレスや他の多くの要因から生じるといわれています。


検査

血液検査によってホルモン値や貧血、栄養状態を確認します。子宮や卵巣等に異常が無いか、超音波エコーで調べます。精神疾患との鑑別も重要なので、心理テストを行うために専門の精神科や心療内科へ紹介されることがあります。


診断

多彩な症状が月経前に現れますが、月経開始後には和らぐのが特徴です。症状が似ているPMDDやうつ病などの精神神経疾患ではないことを確認します。ガイドラインでは、PMSの診断基準はアメリカ産婦人科学会のものが、PMDDの診断基準はアメリカ精神医学会の診断基準が推奨されており、発症時期、身体症状、精神症状から総合的に診断します。

鑑別疾患:月経前不快気分障害(PMDD)、うつ病、パニック障害、気分変調障害、パーソナリテイ障害等の精神疾患や、月経困難症、更年期障害等


治療

気分転換やリラックスする時間を作ったり、セルフケアを探すことが大事です。また、カルシウムやマグネシウムを積極的に摂取し、カフェイン、アルコール、喫煙は控えた方がよいといわれています。薬物療法としては、排卵を抑えることにより女性ホルモンの変動をなくすことで症状が軽快する排卵抑制法があり、低用量経口避妊薬や低用量エストロゲン・プロゲストロン配合薬があります。これは、少ないホルモン量で排卵を一時的に止めるだけなので、副作用も少なく、服用をやめるとすぐに排卵が回復するので、その後の妊娠には影響がありません。対症療法としては、鎮痛剤、浮腫に対する利尿剤、不眠に対しては睡眠剤、精神症状や自律神経症に対しては精神安定剤を使用します。漢方療法も症状や体質に合わせて使用されることがあります。


引受査定のポイント

現症、既往症も特に引受には問題ないでしょう。

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