クッシング症候群

クッシング症候群(Cushing syndrome)すなわち副腎皮質機能亢進症とは、副腎腫瘍・副腎過形成・下垂体腫瘍などにより、体内でコルチゾール(cortisol)とアンドロゲンが副腎皮質から過剰生産される疾患で、下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)と副腎性副腎皮質機能亢進症(ADH)に分けられます。前者は、脳下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰分泌によるものをいい、後者は、原発性副腎疾患によるコルチゾールの過剰分泌をいいます。ACTH依存の有無によりクッシング症候群を分類すると次のようになります。


1. ACTH依存性クッシング症候群

(ア) クッシング病(下垂体性クッシング症候群)

(イ) 異所性ACTH症候群

(ウ) 異所性CRH産生腫瘍

2. ACTH非依存性クッシング症候群(副腎性クッシング症候群)

(ア) 副腎腺腫

(イ) 両側副腎過形成

①大結節性過形成

②小結節性過形成

(ウ) 副腎癌


PDHが副腎皮質機能亢進症の80%を占め、その90%以上が良性の下垂体腺腫によるものです。別名、クッシング病(Cushing disease)と呼びます。一方ADHは、両側性副腎腺腫または副腎癌によるものですが、症状、検査、組織検査でも鑑別困難であり、浸潤や転移の有無により分かることがあります。コルチコトロビン放出ホルモン(CRH)やデキサメサゾンに対する反応が低下しやすいです。クッシング症候群は、まれな疾患で40歳~60際の女性に多く、男女比は1:4といわれています。



クッシング症候群の診断基準ともなる特異的症候としては、次のようなものがあります。

  1. 満月様顔貌

  2. 中心性肥満又は水牛様脂肪沈着

  3. 皮膚の伸展性赤紫色皮膚線条(巾1cm以上)

  4. 皮膚のひ薄化及び皮下溢血

  5. 近位筋萎縮による筋力低下

  6. 小児における肥満を伴った発育遅延

非特異的症候としては、以下のものがあります。

  1. 高血圧

  2. 月経異常

  3. 座瘡(にきび)

  4. 多毛

  5. 浮腫

  6. 耐糖能異常

  7. 骨粗鬆症

  8. 色素沈着

  9. 精神異常

診断基準としては、上記の特異的症候と非特異的症候の中から、それぞれ1つ以上を認めるときに、クッシング症候群を臨床的に疑います。肥満と高血圧がある被保険者には、内分泌疾患としての副腎皮質機能亢進症の可能性があるわけですね。血液検査でACTH濃度を調べると分かることがあります。


内因性副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)濃度

基準値 20~40pg/ml(時に~80pg/ml)


副腎皮質刺激ホルモンは、脳下垂体前葉から血中へ放出され、このホルモンにより副腎が刺激を受け、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンを体内に分泌します。一方、体内の副腎皮質ホルモン濃度によるフィードバック機構が作用することで脳下垂体前葉からのACTH分泌がコントロールされ、その結果副腎皮質ホルモンの分泌量が変化します。このため、ADHでは低下(<10~20pg/ml)し、 PDHでは高値(>40~45pg/ml)とな ることが示唆され、原発部位の鑑別に役立ちます。


したがってクッシング病と確定診断されているのであれば、診断は確実です。クッシング症候群では、その原因となる基礎疾患を鑑別する必要があります。