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血小板減少症

  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

[疾患概念] 血小板減少症とは、末梢血中の血小板数が基準値(一般に15万/µL)を下回った状態を指し、出血傾向を中心とした臨床的問題を引き起こしうる病態の総称である。血小板数の低下は、骨髄での産生低下、末梢での破壊亢進、脾臓への貯留増加、あるいは血管内での消費亢進など、複数の機序によって生じる。臨床上は、単なる検査値異常として偶然発見される軽度のものから、致死的出血を来し得る重篤な疾患の初発所見まで、極めて幅広いスペクトラムを有する点が重要である。



[原因]

原因として最も頻度が高いのは免疫学的機序による末梢破壊であり、その代表が免疫性血小板減少症(ITP)である。ITPでは自己抗体により血小板が脾臓などで破壊され、孤立性の血小板減少を呈する。一方、骨髄異形成症候群や再生不良性貧血、抗がん薬や放射線治療後などでは血小板産生自体が低下する。さらに、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)や播種性血管内凝固症候群(DIC)では、血小板が血管内で過剰に消費され、急激かつ高度な減少を来す。大量輸血後の希釈性血小板減少や、肝硬変に伴う脾機能亢進も重要な原因である。

カテゴリ

代表的疾患・状況

破壊

ITP, HIT, 感染後

産生低下

再生不良、MDS、薬剤

消費

TTP, DIC, 播種性血栓症

希釈

大量輸血

[疫学]

疫学的には、年齢層によって原因疾患の分布が異なる。小児ではウイルス感染後に一過性のITPを発症する例が多く、自然寛解することも少なくない。一方、成人では慢性ITPや薬剤性、基礎疾患に伴う二次性血小板減少症の頻度が高く、高齢者では骨髄疾患や多剤併用に関連した病態が目立つ。


[症状]

臨床症状は血小板数の低下の程度と密接に関連するが、必ずしも単純な相関ではない。軽度から中等度の減少では無症状のことも多いが、皮下出血、点状出血、鼻出血、歯肉出血などの粘膜出血が典型的である。血小板数が著明に低下すると、消化管出血や頭蓋内出血といった生命を脅かす出血を来すリスクが高まる。


[検査]

検査では、まず血算の再検査と末梢血塗抹標本の確認が不可欠である。EDTA依存性血小板凝集による偽性血小板減少を除外するとともに、赤血球破砕像や白血球異常の有無を評価する。加えて、肝腎機能、凝固系検査、溶血マーカー、感染症検査(HIV、HCVなど)を行い、全身性疾患や二次性原因を系統的に検索する。急激な血小板減少と溶血性貧血、神経症状や腎障害を伴う場合にはTTPを強く疑い、ADAMTS13活性の測定を行いつつ、結果を待たずに治療を開始する判断が求められる。原因が不明で持続する場合や、他血球系の異常を伴う場合には骨髄検査が適応となる。


[診断]

診断は原因疾患ごとに異なるが、ITPは典型的には他の原因を除外した上で診断される除外診断である。すなわち、孤立性血小板減少を呈し、薬剤性、感染症、TTP、DIC、骨髄不全などが否定された場合にITPと診断される。高齢者や非典型例では骨髄検査を行い、骨髄疾患の除外を慎重に行う。


[治療]

治療方針は血小板数そのものよりも、出血の有無と重症度、患者背景を重視して決定される。出血がなく血小板数が比較的保たれている場合には経過観察が選択されることも多い。治療が必要なITPでは、副腎皮質ステロイドが第一選択であり、迅速な血小板増加が必要な場合には免疫グロブリン大量静注療法が用いられる。慢性化や治療抵抗性の場合には、トロンボポエチン受容体作動薬、リツキシマブ、脾摘などが患者の状況に応じて選択される。一方、TTPでは血漿交換療法が治療の中心であり、診断が疑われた時点で速やかに開始しなければならない。


[予後]

予後は原因疾患によって大きく異なる。感染後ITPや小児ITPは自然寛解する例が多く、成人ITPでも適切な治療により長期的に良好なコントロールが可能である。TTPは迅速な治療により救命率が大きく改善しているものの、再発や後遺症のリスクを伴う。総じて、血小板減少症の予後は血小板数そのものよりも、その背景にある基礎疾患の性質と重症度に規定されるため、的確な鑑別診断と早期介入が極めて重要である。


参考文献(主要)

  1. American Society of Hematology 2019 guideline for immune thrombocytopenia. (ASH pocket guide). hematology.org

  2. 成人免疫性血小板減少症 診断参照ガイド 2023(臨床血液/日本の参照ガイド)。J-STAGE

  3. StatPearls: Thrombocytopenia review (NCBI Bookshelf). 国立バイオテクノロジー情報センター

  4. Updated international consensus report on the investigation and management of primary immune thrombocytopenia. Blood Advances 2019. ashpublications.org

  5. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド 2023(日本)。ketsuekigyoko.org




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