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感染性心内膜炎

感染性心内膜炎とは、心臓弁膜、心内膜、大血管内膜に細菌集簇を含む疣腫(vegetation)を形成し、菌血症、血管塞栓、心障害など多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患です。感染性心内膜炎は、次の3つの基本病態から構成される臨床像を呈します。


(1)心臓弁膜の破壊による心雑音と心機能低下

(2)内膜の感染による発熱、菌血症、感染性動脈瘤、感染性梗塞と貧血

(3)免疫反応による脾腫、リウマチ因子の出現、糸球体腎炎、オスラー結節、ロス斑



感染性梗塞とは、重篤な感染症において、病原菌凝集塊や感染巣の組織片が塞栓子となり、その塞栓子が血流に乗り臓器などに梗塞を来すものをいいます。急性細菌性心内膜炎などにより脳、心臓、肺臓、腎臓、脾臓に感染性梗塞をおこすことが多いようです。


ロス(Roth)斑は、眼底の出血性梗塞で、網膜上に綿花状のものとして認められ、中心部が白色を呈します。


疣腫(vegetation)は、弁尖あるいは壁心内膜に付着した可動性腫瘤です。


オスラー(Osler)結節は、指頭部にみられる紫色または赤色の有痛性皮下結節です。


上記のように、感染性心内膜炎の病態から多臓器に異常が認められ、菌種や患者本人の基礎疾患などにより多彩な臨床像を呈します。従来から早期診断が困難な疾患の1つと考えられています。


感染性心内膜炎の 起因菌としては、黄色ブドウ球菌が最多で、緑色連鎖球菌、腸球菌が続きます。 病原体別死亡率は次のとおりです。


(1)黄色ブドウ球菌  25~47%

(2)ビリダンスまたはボヴィス連鎖球菌 4~16%

(3)腸球菌 15~25%

(4)真菌 50%~

(5)非HACEK グラム陰性桿菌 50%~




(参考)

1.NEJM 345; 1318. 2001)



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