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多発癌などの定義

大腸癌研究会多重癌検討委員会によると、大腸に原発性のがん腫が2 個以上、発生したものを「多発大腸癌」とし、他の臓器や器官に悪性腫瘍を認める場合は、「重複がん」とするようです。また、大腸の多発癌と重複がんが共に発生した例は「多発・重複がん」と記載します。なお、多発癌と重複がんを包括する用語として「多重がん」を使います。

(注:大腸癌に関しては、m癌の場合は付記する)



さらに、1 年未満を「同時性」、1 年以上を「異時性」とし、共にある場合は、「同・異時性」としています。つまり1年未満に原発性のがん腫が2個以上発生したときは、同時性と判定されます。


また、肺の多発癌については、Martiniらの定義があり、その発生頻度は約1%~3.5%との報告があります。肺の多発癌の治療成績について、同時性多発癌におけるMartiniらの15例の外科的治療成績の5年生存率は28%と報告されています。


なお、2019年10月3日に「領域横断的がん取扱い規約」金原出版が発売となりました。従来の日本においては、 臓器特異的がん専門学会がきめの細かい取扱い規約を策定し、これに沿ってがんの診断・治療が発展してました。各種のがん取扱い規約は、 国際対がん連合(Union for International Cancer Control; UICC)が策定したTNM 分類との相違点もあり、治療成績の比較などを国際的に比較する際の障害ともなっていました。生命保険業界においても、がん保険金の支払時にときに問題となることがあります。この「領域横断的がん取扱い規約」は、22のがん取扱い規約から抜粋し、UICC/TNM分類との比較についても注釈されています。


がんの国際的基準と日本のがん取扱い規約との齟齬が徐々に解消され、整合性ある統一基準となっていくようですね。


(参考)

Martini,N., Melamed, M. R., : Multiple primary lung cancers. J. Thorac. Cardiovasc.

Surg., 70 : 606-612, 1975.

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