医学豆知識メルマガVol.199 脳梗塞

脳梗塞とは、脳を栄養する動脈が閉塞または狭窄して脳が虚血状態となり、酸素や栄養不足のため壊死または壊死に近い状態になることで脳の機能が障害され、麻痺やしびれ、言語障害等の様々な症状をきたす疾患で、脳血管疾患の中の約6割を占めます。


脳梗塞を含めた脳卒中の死亡数は、1975年頃までは1位でしたが、その後、悪性腫瘍、心疾患の増加に伴い3位に、さらに、2011年には肺炎が3位に上昇し、脳血管疾患は死亡数4位に低下しました。最新の平成30年の統計では、1位の悪性腫瘍37.4万人、2位の心疾患20.8万人は変わりありませんが、3位は老衰の10.96万人で、脳血管疾患は僅かに少ない10.81万人で死亡数は4位となっています。この内、脳梗塞は6.04万人(55.8%)です(厚生労働省平成30年人口動態統計より)。


分類

脳梗塞は、その発生機序から大きく、下記の4つに分類されます。


アテローム血栓性脳梗塞:動脈硬化によって動脈壁に沈着したアテロームのため、動脈内腔が狭小化し、十分な脳血流が保てなくなったもので、アテロームが動脈壁から剥がれ落ちて末梢に詰まったものもアテローム血栓性に含まれ、脳梗塞の30~40%を占めます。


脳塞栓:脳血管の病変ではなく、より上流から流れてきた血栓(栓子)が詰まることで生じる脳虚血で、血流が突然閉塞するため、壊死範囲はより大きく、症状は激烈になる傾向があり、脳梗塞の30~40%を占めます。


ラクナ梗塞:TOAST分類では、穿通枝領域の1.5 cm以内の小梗塞で、病巣近位の責任血管の50%以上の狭窄を認めないものとされており、脳梗塞の30~40%を占めています。


その他の脳梗塞:ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞の中間となるBAD(branch atheromatous disease)や、動脈内膜の解離によるもの、ワレンベルグ症候群、悪性腫瘍による血液凝固異常によるTrousseau症候群、脳静脈・静脈洞血栓症、脳アミロイドアンギオパチーや、血管炎によるもの(抗リン脂質抗体症候群、高安動脈炎、SLE)、神経ベーチェット等があります。


症状・病期

脳梗塞は、壊死した領域の巣症状で発症するため、多彩な症状を生じます。片側の麻痺、一側のしびれ感、構音障害や失語症、片側の失明、めまい、失調、意識障害、高次脳機能障害が主な症状として挙げられます。発症から1時間以内を発症直後、1~24時間を超急性期、1日~7日を急性期、1~3週間を亜急性期、1ヶ月~慢性期と呼ばれます。その後リハビリにより発症から6ヶ月(180日)程度で一般的には症状は固定すると考えられています。


診断

症状から脳梗塞を疑い、神経学的所見により責任病巣部位を推測します。NIHSSという脳卒中重症度評価スケールは、超急性期の血栓融解療法を実施する際の必須項目となっています。CT検査は最も一般的な検査で脳出血との鑑別も出来ます。細胞性浮腫は発症1時間前後で、血管性浮腫は発症3時間程度で認められることが多いです。MRIでは、CTに比べてより早期から所見をとらえることが出来ます。拡散強調画像(DWI)では高信号を約3時間後から認め、T2強調画像では急性期(1~7日)で病変が高信号になります。

MRAでは脳主幹動脈の狭窄、閉塞が明らかになる場合もあります。その他、頸動脈エコーでは血管内壁のプラークによる狭小化を確認できることがあります。心エコーは、非弁膜症心房細動による心原性脳塞栓の評価が出来ます。塞栓源として重要な所見としては、左心耳内血栓、卵円孔開存、心房中隔瘤、心臓腫瘍、大動脈弓部複合粥腫病変などがあり、経食道心エコーでの検出率が高いです。


治療

発症4.5時間以内では全ての病型にrt-PAによる血栓融解療法(局所静脈内)の適応があります。発症6時間以内で、中大動脈塞栓性閉塞には、動脈カテーテルによる、ウロキナーゼ血栓融解療法の適応があります。ウロキナーゼの静脈注射は発症6時間以降も行えますが、効果はさらに劣ります。発症8時間以内なら、血栓自体をワイヤー等でからめてとる血栓回収療法や、ポンプで吸引してしまう機械的再開通療法もあります。rt-PAに追加して行うと効果があるというエビデンスもあります。


時間が経過したものは、抗血小板剤や抗トロンビン剤等の抗凝固療法が行われます。心原性脳塞栓症の場合は、1日以上経過していれば、出血に注意して、ヘパリンの投与が開始されます。バルーン付きのマイクロカテーテルで血管を拡張する血管拡張術や、ステントを留置するステント留置術、詰まった場所までカテーテルを進め、血管を拡張させる薬を注入する血管拡張術や血栓融解療法などの脳血管内治療も行われます。広範囲な脳梗塞で、著明な脳浮腫、水頭症や脳ヘルニア、呼吸中枢を圧迫している等の場合は、外科的な開頭減圧術が必要な場合もあります。


予後

大まかには脳梗塞全体の死亡率は約15%で、約35%は完全もしくは日常生活程度には復帰しますが、約50%は後遺症が残るというデータがあります。再発については、20~30%が3年以内に再発するようです。1年以内の再発は、ラクナ梗塞では4~5%、アテローム梗塞では5~6%、心原性梗塞はで7~8%と高めで、再発するごとに重症化していきます。


引受査定のポイント

予防的投薬のみで後遺症のない既往症については、死亡保険については保険料割増等の条件付~標準体での引受が考慮できますが、医療保険については、一定期間は延期としたほうがよいでしょう。また、麻痺等の後遺症がある場合には点数を加算して査定します。


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