保険会社も保険をかけることをご存知でしょうか。 それを再保険といいます。 米国の保険数理人による教科書 「Life, Health & Annuity Reinsurance」によると、 再保険とは、「保険会社が引受けた契約におけるリスクの全てもしくは一部を補償するために、その保険会社により購入される保険」 と定義されています。 ここで再保険を購入することを出再、 その保険会社を出再者といいます。 そして再保険を引受けることを受再、その保険会社を受再者といいます。保険を一般の契約者から引受ける出再者を元受保険会社とも呼びます。また再保険を引き受ける受再者を 再保険会社と呼びます。この元受保険会社と再保険会社との間で結ばれる契約を再保険協約(reinsurance treaty)といいます。
再保険を一言で述べるならば、リスクの転嫁です。よって再保険は、損害保険です。というのも元受保険会社の保険金支払による 実損を補償するからです。また生命保険再保険も損害保険です。保険業法は第3条において生損保の兼業を原則禁止していますが、生命保険業免許でおこなえることの1つとして「生命保険と第三分野保険の再保険」が認められています。したがって生命保険の再保険については、生命保険会社が事業として行うことができます。
保険会社としては、多額の保険金を支払う能力がない場合に保険契約を結ぶことは出来ません。実際には、自社の引受能力を超えた保険契約をすることはないのです。しかしながら大きな災害などが起きた場合に、一度に何人にも死亡保険金を支払う必要がでてきます。自社の支払能力の限界を超えてしまった場合、保険会社は会社経営を続けることができなくなってしまいます。もちろん、保険金を支払うことができないことから、社会的な信用を失い、結果として企業評価と業績も下降線をたどることになります。 もし、このようなことが大手の保険会社に起こってしまうと、社会問題となり、経済や政治にも影響する問題にもなります。
そこで、リスクを回避するために、保険に保険をかけておくことが重要となります。これが再保険です。すなわち、ある保険会社がひとつの保険契約に対して、他の保険会社と保険契約を結び、保険料を支払うことで、万が一の何かが起きたときには全額あるいは契約した部分の保険金を他の保険会社から支払ってもらうことです。 これが再保険の仕組みなのですが、当然、その保険金額が大きな場合に限っています。多くの場合、物を扱う損害保険会社で多く行われているもので、ビルや大きな建物、大型船舶、航空機といったものが対象になっているようです。また、地震などの大規模災害なども再保険の対象となります。(1966年、日本地震再保険株式会社)
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