双極性障害

双極性障害とは、うつ状態(抑うつエピソード)と躁状態(躁病エピソード)という相反する2つの極を繰り返す疾患です。従来は躁うつ病と呼ばれていました。DSM5によると、双極性障害は次の2つに分類されます。


・双極性障害Ⅰ型

・双極性障害Ⅱ型


双極性障害I型では、社会生活を損なうほどの完全な躁状態が1回でもみられたことがあり、通常はうつ状態も経験しているが、その有無は問いません。一方、双極性障害II型では、うつ状態を経験し、少なくとも1回は社会生活を維持できる軽度の躁状態がみられたことがあるが、完全な躁状態は一度もない状態です。双極性障害の明確な原因はわかっていませんが、神経伝達物質であるノルアドレナリンやセロトニンなどが正常に機能しないなどが知られています。


日本では、重症・軽症の双極性障害の患者さんは0.4~0.7%といわれています。男女比はほぼ同じです。またうつ病と診断された患者さんの中で16%が双極性障害と考えられています。


躁病とうつ病を繰り返す双極性障害のうつ病エピソードは、うつ病とほぼ同じです。過去の躁病エピソードを自覚していない症例も多いため、鑑別が難しいことがあります。双極性障害は20歳前後の若年者に発症することが多く、幻覚や妄想などの精神症状を伴いやすいです。


双極性障害の治療は、その臨床像と重症度により変わりますが、気分安定薬と第2世代抗精神病薬を用います。





躁病エピソードと軽躁病エピソードについて下記に説明します。(DSM-5)


躁病エピソード

A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した目標指向性の活動または活力がある。このような普段とは異なる期間が、少なくとも1週間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する(入院治療が必要な場合はいかなる期間でもよい)。


B.気分が障害され、活動または活力が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が有意の差をもつほどに示され、普段の行動とは明らかに異なった変化を象徴している。


(1)自尊心の肥大、または誇大

(2)睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)

(3)普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感

(4)観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験

(5)注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的 刺激によって他に転じる)が報告される、または観察される。

(6)目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、または 精神運動焦燥(すなわち、無意味な非目標指向性の活動)

(7)困った結果につながる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)


C.この気分の障害は、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしている。あるいは自分自身または他人に害を及ぼすことを防ぐため入院が必要であるほど重篤である、または精神病性の特徴を伴う。


D.本エピソードは、物質(例:薬物乱用、医薬品、または他の治療)の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。


軽躁病エピソード

A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した活動または活力のある、普段とは異なる期間が、少なくとも4日間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する。


B.気分が障害され、かつ活力および活動が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が持続しており、普段の行動とは明らかに異なった変化を示しており、それらは有意の差をもつほどに示されている。


(1)自尊心の肥大、または誇大

(2)睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)

(3)普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感

(4)観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験

(5)注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される、または観察される。

(6)目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、または精神運動焦燥

(7)困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)


C.本エピソード中は、症状のないときのその人固有のものではないような、疑う余地のない機能の変化と関連する。


D.気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。


E.本エピソードは、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしたり、または入院を必要としたりするほど重篤ではない。もし精神病性の特徴を伴えば、定義上、そのエピソードは躁病エピソードとなる。


F.本エピソードは、物質(例:乱用薬物、医薬品、あるいは他の治療)の生理学的作用によるものではない。