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リウマチ熱

リウマチ熱は、”NewPrince”という英語の教科書に載っていた病名として覚えています。中学1年生のことで、この病気については何も知らず、世の中には難しい名前の病気があるのだなと思っていました。細菌感染症による子どもの病気であったことは後に知りました。


リウマチ熱(rheumatic fever; RF)とは、A群β溶血性連鎖球菌感染に対するⅡ型アレルギー反応の結果として起こる全身の非化膿性急性炎症性疾患です。現在は減少傾向にあるものの、5歳から15歳の小児に好発します。昔は、膠原病の一つとして考えられてきましたが、原因が判明したことにより別疾患として扱われるようになりました。



リウマチ熱は、持続性発熱と咽頭痛を伴う滲出性咽頭炎の2~3週間後に起こります。症状としては、関節痛・関節腫脹を示す移動性の多関節炎、心炎、皮膚結節、輪状紅斑、小舞踏病などがあります。これら5つの大症状を改訂Jones診断基準とよびます。心炎は、心内膜炎(弁膜炎)が主体ですが、心筋炎、心囊炎も伴うことがあります。小舞踏病とは、小児に発病し、手足・顔・体に踊っているような不随運動を示す疾病です。


リウマチ熱の既往、発熱、関節痛がある場合、またはASO値上昇、咽頭培養にてA群β溶血性連鎖球菌(+)などから、最近の猩紅熱の罹患があるとき、リウマチ熱を疑います。猩紅熱とは、A群β溶血性連鎖球菌による感染症で、咽頭痛、発熱、発疹を主症状とします。血液検査では炎症性反応(赤沈亢進、CRP(+)、白血球増加)、心電図検査ではPR延長、胸部X線検査では心陰影の左右拡大が見られます。これは心膜腔に浸出液が貯留するためです。

 

リウマチ熱の薬物療法として、ペニシリン系抗菌薬と抗炎症薬を投与します。A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)の殺菌目的としてペニシリンが用いられます。急性期の症状が消失した後も、再発予防のためにペニシリン投与を少なくとも5年間継続します。これを抗溶連菌療法とよびます。これは、リウマチ熱発症5年以内は再感染による再発リスクが高く、初発時に心炎を起こした場合は再発時も心炎を伴いやすいからです。


なおペニシリンアレルギーのある場合には、マクロライド系を用います。ペニシリンアレルギーとは、ペニシリン分子によるⅠ型アレルギー反応です。ペニシリン注射後に重篤なショック状態をきたすことがあります。抗炎症薬としては、アスピリンが投与されます。また心炎を伴うときにはステロイドを使います。


リウマチ熱では、心炎により僧帽弁の機能不全を起こして心雑音を聴取することがあります。重症例や再発を繰り返したものでは、10年以上を経て心臓弁膜症(狭窄症・閉鎖不全症)となることがあります。急性リウマチ熱を発症した数年後に連鎖球菌のM蛋白に起因する持続性の心炎を慢性リウマチ性心疾患といいます。慢性リウマチ性心疾患で障害される弁は、僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁の順に頻度が高いです。リウマチ熱の予後は、この弁膜症の有無とその程度によって決まります。


リウマチ熱の現症は引受不可です。発症1回の既往症で心雑音のなかったものは、全治後2年以上経過していれば標準体引受可能でしょう。発展途上国ではリウマチ熱による心炎は、若年成人と小児の死亡原因として、未だ大きな問題です。


(参考)

急性リウマチ熱の改訂Jones診断基準

大基準

心炎(症候性、非症候性)

舞踏運動

輪状紅斑

多関節炎

皮下結節


小基準

多発性関節痛(大基準に多関節炎がある場合は用いない)

赤沈亢進(> 60mm/h)またはC反応性タンパク値の上昇(> 30mg/L)

発熱(≥ 38.5℃)

PR間隔延長(心電図上)(大基準に心炎がある場合には用いない)


注)急性リウマチ熱を診断するには、大基準2つまたは大基準1つと小基準2つ、およびA群レンサ球菌感染の証拠(臨床像からレンサ球菌咽頭炎が示唆される小児において、抗レンサ球菌抗体価[抗ストレプトリジンO(ASO)抗体、抗DNase-B抗体]の高値または上昇、咽頭培養陽性、または迅速抗原検査陽性)が必要となる。




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