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アダムストークス症候群

アダムストークス症候群の簡単な定義は、不整脈による失神発作だろう。不整脈には、徐脈性、頻脈性と混合性不整脈がありますが、太宗は房室(AV)ブロックということです。つまり脳循環不全を起こせば、意識消失つまり失神となります。


ここで、失神の定義を考えておきます。失神(syncope)とは、一過性の意識消失で、姿勢を保持できなくなることです。発症は比較的速やかで、意識は自然にかつ完全に、多くの場合速やかに回復します。意識が回復しなければ失神ではないです。意識消失は一過性で、意識障害が遷延する場合を含まないわけです。


失神の経験のない人に対して、アダムストークス症候群などの心原性失神の死亡ハザード比は2倍、心血管系イベントのハザード比は2倍以上とのフラミンガム研究の報告もあります。したがって生命保険医学の観点から超過死亡指数は、+100以上を加点する必要があります。


さて、アダムストークス症候群は、不整脈により心拍出量の急激な低下を起こし、それにともなう脳血流減少により、めまい、意識消失(失神)、痙攣などの一過性の脳虚血症状を引きおこした病態を指します。


本病名は1800年代前半にAdams R.とStokes W.が、それぞれ徐脈にともなう失神発作の症例を報告したことに由来します。古くは完全房室ブロックにともなう失神や痙攣発作に対してのみにアダムストークス症候群は使われていました。しかし現在では、洞房ブロックなど他の徐脈性不整脈に加えて、心室頻拍などの頻脈性不整脈によるもの、洞機能不全症候群(sick sinus syndrome)など徐脈・頻脈混合型不整脈による場合も含めています。つまり徐脈性不整脈と頻脈性不整脈のいずれかの不整脈を原因とする失神は、アダムストークス症候群ということになっています。不整脈としては次のような疾患があります。


  1. 徐脈性不整脈

    1. 房室ブロック

    2. 洞不全症候群

      1. 洞性徐脈

      2. 洞房ブロック/ 洞停止

      3. 徐脈頻脈症候群

  2. 頻脈性不整脈

    1. 発作性上室性頻拍/ WPW症候群

    2. 心房細動/ 心房粗動

    3. 心房頻拍

    4. 心室細動/ 心室頻拍

    5. 心室性期外収縮

頻脈、徐脈と不規則な脈のいずれもが、脳循環不全から一過性の意識消失を引き起こす可能性があるということですね。正常な脈拍数は60~90拍/分であり、これを下回っても上回っても生命リスクがあります。一度、循環器専門医で精密検査を受けておくと良いと思います。














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