心筋炎とは、心臓の心筋に何らかの原因により炎症が起こり、心不全などを引き起こす病気です。炎症が心膜まで及ぶと心膜心筋炎と呼びます。炎症を起こす原因としては、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などによる感染、放射線、薬物、毒物などによる中毒性、膠原病などの全身疾患に合併するものなど様々ですが、最も多い原因はコクサッキーウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルス感染によるものです。臨床経過としては、数日間の風邪症状があり、その後突然重たい胸症状を訴えます。合併症として、ウイルスにより心筋収縮能が障害されて起こる心不全や、刺激伝導系に障害を来す為に発症する重症不整脈などがあります。治療は、炎症に対する治療と、合併する心不全と不整脈に対する治療が必要となります。
心臓は、心筋とよばれる筋肉細胞からなる臓器で、全身へくまなく血液を送るために収縮と弛緩を繰り返しています。心臓のポンプ機能が低下した状態が心不全です。心不全では、胸痛、息切れ、呼吸困難などの症状を示します。心筋炎は、心不全の原因の1つとなります。
心筋細胞の塊りである心臓には、その筋肉細胞を一定の律動で動かすための電気配線があります。それが刺激伝導系と呼ばれる特殊心筋細胞の集まりです。心臓の収縮と弛緩のリズムは洞房結節(SA node)という部位が主にその役割を担っています。健常人の心拍数は、この洞房結節により平均70回/分に保たれています。刺激伝導系が心筋炎により障害されると不整脈が起こります。
心電図検査では、広範囲にST上昇が観察されることから、急性心筋梗塞、早期再分極症候群などとの鑑別が重要となります。心膜炎と早期再分極症候群では、上に凹なST上昇が観察されます。
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