肺アスペルギルス症

肺アスペルギルス症は、アスペルギルス属(Aspergillus)の真菌によって引き起こされる肺の感染症です。アスペルギルスは、自然界に広く分布している真菌の1種で、通常は病原とはなりにくい菌ですが、免疫低下状態などにあるヒトに日和見感染症を起こします。また、肺に空洞がある場合にも感染を起こしやすいです。過去に肺の病気によって形成された肺の空洞など、体内の空洞のある部分を侵し、外耳道や副鼻腔に感染症が生じることもあります。真菌のアスペルギルス・フミガートス(A. fumigatus)が原因で起こるものもあります。このアレルギーによって引き起こされる病型がアレルギー性気管支肺アスペルギルス症です。次のように疾患分類されています。


慢性肺アスペルギルス症

肺アスペルギローマ(SPA)

慢性進行性肺アスペルギルス症(CPPA)

慢性空洞性肺アスペルギルス症(CCPA)

慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)

侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)


アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)

表在性アスペルギルス症



侵襲性肺アスペルギルス症(invasive pulmonary aspergillosis; IPA)は日和見感染症( opportunistic infection)で,乾性咳嗽、発熱、胸膜痛で発症し、死亡率は55~80%と予後不良の疾患で、アスペルギルス菌糸が、気管支壁を破って近隣の動脈内に浸潤、塞栓性に血管を閉塞し、出血性梗塞をきたす。胸部X線検査では、単発もしくは多発する粒状、斑状の浸潤影、結節影が出現し、その後、内部にLung ball を有する空洞影を形成する。Lung ballは菌糸、好中球、マクロファージが浸潤して壊死した肺組織の塊であり、アスペルギローマにみられる真菌の塊である真菌球(Fungus ball)とは異なります。 空洞は、好中球数が500/μl 以上に上昇すると出現し、また大量喀血は空洞が出現した後、数日以内に起こる可能性が高いと言われています。


慢性壊死性肺アスペルギルス症(chronic necrotizing pulmonary aspergillosis; CNPA) 肺に結節や浸潤影を伴い、進行が早く、進行性に肺組織が破壊されるものです。IPAの亜急性型といえます 。


これに類似した疾患に、肺に複数の空洞が存在する慢性空洞性肺アスペルギルス症(chronic cavitary pulmonary aspergillosis; CCPA)があります。進行が遅く年単位の経過で空洞が拡大して肺が虚脱します。CNPAとCCPAとの臨床的鑑別は困難で、治療においても明確な差はありません。それゆえにCNPAとCCPAを統合した疾患群として、慢性進行性肺アスペルギルス症(Chronic progressive pulmonary aspergillosis; CPPA)という疾患概念が提唱されています。


CNPAでは、空洞の有無を問いません。

CPPAでは、空洞があるものの、真菌球の有無は問いません。


(参考)

深在性真菌症のガイドライン作成委員会編「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014」協和企画 2014年