医学豆知識メルマガVol.203 くも膜下出血

脳を覆う膜は、表面から硬膜、くも膜、軟膜となっており、くも膜と軟膜の間は「くも膜下腔」と呼ばれ脳脊髄液が循環しています。くも膜下出血とは、脳動脈瘤破裂や脳動静脈奇形からの出血により、くも膜下腔に血液が混入した疾患で、脳血管障害の約1割を占める疾患です。



原因

原因の多くは脳動脈瘤の破裂で約80%を占めます。この他、脳動静脈奇形からの出血や、もやもや病、頭部外傷、脳腫瘍や脳動脈解離の瘤の破裂によるくも膜下出血があります。原因となる責任遺伝子は発見されていませんが、多発性嚢胞腎の約15%はくも膜下出血を合併すると言われ、くも膜下出血を発症した家族は通常に比べて数倍の頻度で未破裂脳動脈瘤を有すると言われています。


疫学

平成29年の厚生労働省の統計によると、脳血管疾患での死亡数109,880人のうち、脳梗塞62,122人(57%)、脳内出血32,654人(30%)に次いで、くも膜下出血は12,307人(11%)となっています。患者は男性:女性= 1:2で女性に多く、男性では50代がピーク、女性は70代後半がピークと言われています。



症状

主な症状は激しい頭痛と吐き気です。また出血部位によっては、意識障害や、けいれん発作を起こす事もあります。また前兆として軽い頭痛が生じたり、眼球を動かす動眼神経を動脈瘤が圧迫することで物が二重に見える複視や、まぶたが下がって来る等の症状があらわれることがあります。


診断

身体所見としては、項部硬直やケルニッヒ徴候等の髄膜刺激症状がみられます。CTでは、くも膜下腔に高吸収領域(白く抽出)が認められます。 MRIでは血腫が少量の場合や、時間が経過した症例ではCTよりも検出率が高いといわれており、MRA(血管撮影)も同時に撮影できる利点があります。腰椎穿刺では血液混入(急性期)やキサントクロミー(陳旧性)が肉眼でも認められますが、徐脈や乳頭浮腫等の脳圧亢進症状がある場合には、脳ヘルニアを助長する恐れがあるので禁忌とされます。


治療

破裂した動脈瘤の根元を直視下でクリッピングする開頭動脈瘤クリッピング術や、血管カテーテルにより動脈瘤内にプラチナ製のコイルを詰めて閉塞する、コイル塞栓術が急性期の主な手術療法で、水頭症の様な合併症に対しては脳室―腹腔短絡術(∨-Pシャント)等を行います。


合併症・後遺症

再出血はくも膜下出血の約20%に生じ、24時間以内が多く、再出血を起こすと予後は不良となります。血腫の影響で脳の動脈が縮む脳血管攣縮は3~4割に生じ、発症4日~14日が多く、血管攣縮による梗塞は通常の脳梗塞よりも重篤です。晩期の合併症としては正常圧水頭症があります。また麻痺や言語障害、感覚障害、記憶障害、視野障害等の後遺症が残ることがあります。

予後

くも膜下出血は太い血管から出血するため、他の脳卒中と比べると生命の 危険が高くなります。約1/3の患者さんは死亡し、1/3に後遺症が残り、残りの1/3が社会復帰できるまでに回復するといわれています。 くも膜下出血は再発率の高い疾患で、ある統計では10年以内に70%の人が再発するともいわれており、再発すると死亡率がより高まります。

引受査定のポイント

現症はいずれも引受延期です。既往症は死亡系は引受延期~保険料割増等の条件付での引受ですが、医療保険については、一定期間は引受延期としたほうがよいでしょう。麻痺等の後遺症がある場合には加算して引受査定をします。

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