急性膀胱炎とは、尿道から侵入した細菌が、本来無菌であるはずの膀胱に逆行性に侵入することで生じる尿路感染症です。急性単純性膀胱炎は20~40才女性の25~35%が罹患するといわれています。感染症としては比較的軽症で、症状の持続は平均6.1日ですが、平均4.2日の日常活動の制限、平均1.2日の就業制限、平均0.4日の臥床が認められるというデータもあり、社会的損失は決して少なくないと考えられます。
症状
自覚される症状は、排尿時痛、残尿感、頻尿です。炎症が進むと血尿が出ることもあります。膀胱炎で発熱することはありませんが、悪化して逆行性に腎盂腎炎をきたせば高熱、背部痛が出現します。その他の症状としては、下腹部痛、尿の混濁があります。
原因
大部分は大腸菌によるものです。その他としては、ブドウ球菌属、プロテウス、肺炎桿菌、腸球菌属等の細菌や、クラミジア、ウレアプラズマ、マイコプラズマ等の関与があります。女性は男性と比較して尿道が短く、肛門や膣が尿道から近いので細菌が侵入しやすく感染しやすいといわれます。また、膀胱粘膜は通常は細菌に対する防御力が備わっていますが、トイレを長時間我慢して膀胱が伸び、血流が減ったり、ストレスなどで免疫力が落ちると膀胱炎を発症しやすくなるといわれています。また、糖尿病、ステロイド、抗がん剤投与中など全身性感染防御機能の低下状態の場合も感染しやすくなるといわれます。
診断
自覚症状から急性膀胱炎を疑い、尿検査では一定数以上の白血球や細菌が認められます。また、尿中の細菌を培養して菌の種類を調べます。発熱や全身倦怠感などの重篤な症状はなく、血液の白血球やCRP、血沈の亢進等の炎症所見がないことで腎盂腎炎と区別できます。細菌尿は尿中の細菌が10000/ml以上、膿尿は尿中の白血球数10個/㎣以上が基準となっています。
鑑別
急性で細菌性の膀胱炎は治りやすいのが特徴です。鑑別疾患としては、間質性膀胱炎、薬剤性膀胱炎、出血性膀胱炎、放射線性膀胱炎、結核性膀胱炎、真菌性膀胱炎があります。また、男性の場合、基礎疾患として、前立腺肥大症や尿管結石、尿道狭窄、膀胱癌、前立腺癌、神経因性膀胱等が原因となっていることがあります。腎盂腎炎は鑑別疾患として重要です。
治療と予後
抗菌薬(セフェム系やニューキノロン系)を3日~1週間程度内服します。また、水分を多くとって尿量を多くすることで細菌を排出し易くします。急性膀胱炎の26%は2週間以内に自然に治癒するといわれますが、約半数は1年以内に再発するともいわれます。
引受査定のポイント
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━現症は、死亡保険系は引受可、医療保険は部位不担保等の条件付での引受が考慮できるでしょう。既往症については、どの保険種類も標準体で引き受けて問題ないでしょう。
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