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◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 171◆◇ 2017.09.13

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反社会性パーソナリティ障害
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DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアルによると、人格障害(パーソナリ
ティ障害)とは、その人の属する文化から期待されるものから著しく偏った、
内的体験および行動の持続的様式と定義されています。「属する文化から期待
されるもの」ということから、日本人と欧米人で当然に属している文化が異な
るものと考えられ、期待されるものも異なります。つまり同じ社会的状況下に
あったとしても、文化が異なれば期待される反応も違うわけで、それが言動に
現れます。たとえ同じ文化に属していても、おそらく生活環境が異なる地域差
もあるのではないでしょうか。したがって人格障害は、個性と見なされるもの
から精神病に近い反応を呈するものまで、一連の人格スペクトラム上のいずれ
かに位置しているとも言えます。

さらに、「著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式」が、以下の領域
の2つ(またはそれ以上)の領域に現れた場合に人格障害と判断されます。

 (1)認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
 (2)感情性(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定性、および適切さ)
 (3)対人関係機能
 (4)衝動の制御

しかも、その持続的様式には柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い
範囲に広がり、臨床的に意味のある著しい苦痛または、社会的、職業的、また
は他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている場合に人格障害と診
断されます。翻せば、人格に歪みがあったとしても、著しい苦痛を感じてない
か、機能の障害を引き起こしてなければ、人格障害でないと判断されます。ど
こで線引きをするか、非常に微妙なところですね。

この人格障害の中の1つに、「反社会性パーソナリティ障害」と呼ばれるもの
があります。DSM-5で反社会性パーソナリティ障害と定義されているもの
は従来サイコパス(psychopathy)と呼ばれてきました。サイコパスは、連続
殺人犯などの反社会的な人格を説明するために開発された疾患概念です。具体
的には、トマス・ハリスの小説『羊たちの沈黙』に登場するハンニバル・レク
ター博士のような人物を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。彼は、
高い知性を持ちながら、冷酷な猟奇殺人を連続して犯す人物です。近年、脳科
学研究の進歩により、サイコパスは、必ずしも冷酷で残忍な殺人犯ばかりでは
ないことも明らかになりつつあります。つまり社会適応できているサイコパス
もいるようです。

反社会性パーソナリティ障害のDSM-5診断基準によると、彼らはいわゆる
リスクテイカーで、社会的規範に適合しない行動をとり、自分の利益や快楽の
ために繰り返し嘘をつき、衝動的、攻撃的、無謀で、他人を傷つけたり、いじ
めたり、または他人のものを盗んだとしても良心の呵責がないようです。

これらも程度問題で、社会的な問題を起こさずに生活している人が、日本人で
100人に1人いるといわれています。相手の目から感情を読み取る能力に長
けていて、言葉巧みに他人を意のまま操るわけですから。

したがって新契約の告知書に反社会性パーソナリティ障害という病名は現れ
ないかもしれませんが、給付金・保険金支払場面では、タフな相手となるのは
必然かもしれません。

参考:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院.2014)

(参考)
反社会性パーソナリティ障害
A.他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以降起こっており、以
  下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。
  (1)法にかなった行動という点で社会的規範に適合しないこと。これは逮
    捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。
  (2)虚偽性。これは繰り返し嘘をつくこと、偽名を使うこと、または自分
    の利益や快楽のために人をだますことによって示される。
  (3)衝動性、または将来の計画を立てられないこと
  (4)いらだたしさおよび攻撃性。これは身体的な喧嘩または暴力を繰り返
    すことによって示される。
  (5)自分または他人の安全を考えない無謀さ
  (6)一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、ま
    たは経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって
    示される。
  (7)良心の呵責の欠如。これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他
    人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、それを正当化した
    りすることによって示される。
B.その人は少なくとも18歳以上である。
C.15歳以前に発症した素行症の証拠がある。
D.反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や双極性障害の経過中のみでは
  ない。

出典:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院.2014)

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