株式会社査定コンサルティング

生命保険査定業務・教育研修等を総合的にサポート

HOME > 未分類 > ◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 165◆◇ 2017.05.10

◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 165◆◇ 2017.05.10

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
急性膵炎
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
膵臓は、インスリンやグルカゴン等の血糖をコントロールする内分泌機能と、
蛋白・脂質・炭水化物分解酵素等の酵素を産生・分泌し、食物を消化・分解す
る外分泌機能を有する臓器です。急性膵炎は、いろいろな原因で活性化された
膵酵素によって膵臓自身が消化されてしまい、膵臓やその他の臓器に炎症と障
害が引き起こされる疾患です。

疫学
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本での発生頻度は1年間で10万人あたり49人(厚労省研究班2014)
で、男性は女性の約2倍です。男性ではアルコール性膵炎が、女性では胆石性
膵炎が多いです。
1日4ドリンク※(エタノール48g)以上の飲酒では2.5倍のリスクで、
胆石がある場合の相対リスクは、男性で14~35(倍)、女性で12~25
(倍)という報告があります。
また、中性脂肪が1,000~2,000mg/dlを超えると発症率が増加します
が、このような症例は家族性の高脂血症に多く発症します。
急性膵炎全体に占める重症急性膵炎の割合は、近年は20%前後を推移してお
り、平成24年度の重症急性膵炎医療費受給者の新規受給者は2,998人で
過去最高でした。
※ドリンク=飲酒量の単位

原因
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最も多いのはアルコール性(33%)で、次に胆石(27%)、原因不明の特
発性(17%)と続きます。その他、診断的ERCPや処置、手術後、薬剤に
よるものがあげられ、中性脂肪が高い脂質異常症によって引き起こされること
もあります。

症状
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最も多い症状は上腹部痛です。左のみぞおちから背部にかけて広がります。特
に油分の多い食事後やアルコール飲酒後に多く生じます。症状は、膝を曲げて
腹ばいになると軽快します。その他の症状としては、吐き気、嘔吐、腹部膨満
感、食欲不振、発熱等があります。重症化して意識障害やショック症状を起こ
すこともあります。

診断
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
厚生労働省難治性膵疾患に関する研究班2008年より、下記の診断基準が出
・されています。
 1.上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある
 2.血中または尿中に膵酵素の上昇がある
 3.超音波、CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見がある
上記3項目中2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外したもの。
ただし、慢性膵炎の急性憎悪は急性膵炎に含めるようです。

検査
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
問診や診察は重要です。血液検査では、血中リパーゼや血中アミラーゼ、尿で
は尿中アミラーゼやトリプシノーゲン2検査があります。画像では、超音波、
腹部単純X線、CT(単純・造影)、MRI(胆道結石や出血を伴う膵壊死)
が有用です。

重症度
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
重症度判定基準(2008)では、血圧、酸素分圧、BUN(尿量)、LDH、
血小板数、総Ca、CRP、年齢等の9項目の予後因子スコアが3点以上、ま
たは造影CTスコアというものがあり、Grade2以上の場合は重症とされ
ます。重症急性膵炎と判定されれば、死亡率が高いため、集中治療室にて経時
的に重症度判定を繰り返し行う必要があります。なお、血中リパーゼやアミラ
ーゼは診断には有用ですが、重症度とは相関しません。

合併症
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
急性膵周囲液体貯留、急性壊死性貯留、膵仮性嚢胞、被包化壊死、持続性急性
出血や腸管虚血等の局所合併症の他、ショック、DIC、ARDS、敗血症、
急性腎不全、多臓器不全、心不全、呼吸不全、肺炎、腸管穿孔、イレウス等、
全身性の合併症があります。

治療
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
まず重症度判定を行い、軽症例では絶飲食による膵の安静と十分な輸液や薬物
療法、疼痛対策等の基本的な治療法を行い、最終的には退院に向け内服治療を
行います。
重症例では集中治療室での全身管理が必要になります。特に胆石性の膵炎の場
合には、膵炎沈静化後、速やかに胆嚢摘出術が勧められます。このため、重症
例では入院が長期化する傾向があります。

予後
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アルコール性急性膵炎は46%に再発を認め、そのうち80%は4年以内に生
じたという報告もあります。胆石性膵炎では、胆石に対する処置が行われなか
った場合には32~61%に再発が生じるとされます。重症急性膵炎では20
%に再発が認められ、特にアルコール性膵炎の再発率は32%と高いです。急
性膵炎の慢性膵炎への移行率は3~15%と言われており、重症例では2%と
されます。
死亡率は全体で2.1%、重症例では10.1%と高く、高齢者ほど死亡率は高
くなります。
予後は膵壊死と臓器不全により決定され、壊死性膵炎は急性膵炎患者の約20
%に発生し、その死亡率は15~20%です。壊死性膵炎に臓器不全を伴った
場合は死亡率は約50%と高くなりますが、発症早期から臓器不全がある場合
や48時間以上続く臓器不全がある場合の死亡率は、70%とさらに高くなり
ます。

引受査定のポイント
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(重症度≒入院日数)
5年以内に1ケ月以上の入院があれば、現症・既往症のどちらも死亡保険、医
療保険ともに引受不可となります。
5年以内に1ケ月以上の入院がなければ、現症は死亡保険、医療保険ともに引
受延期ですが、既往症は死亡保険は保険金削減~標準体での引受可、医療保険
は部位不担保等の条件付き~引受可と思われます。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ご意見・ご質問はinfo@hokensatei.comまでお寄せください。

戻る