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◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 150◆◇ 2016.08.27

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潰瘍性大腸炎
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潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる原因不
明の炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)です。血性下痢と種々
の全身症状を示し、長期にかつ大腸全体を侵す場合には悪性化の傾向もある難
病指定の疾患です。

疫学
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医療受給者は、1975年は965人で、平成25年度は166,060人と
急激に増加していますが、10万人あたりでは100人程度で、米国の半分以
下です。発症年齢は若年から高齢まで広範囲ですが、ピークは、男性は20~
24才、女性は25~29才です。男女比は1:1で性差はありません。

原因
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はっきりした原因は不明ですが、遺伝的要因と食生活等の環境因子が複雑に絡
み合って、何らかの抗原が、消化管の免疫担当細胞を介して腸管局所での過剰
な免疫反応により持続的な炎症を引き起こしていると考えられています。

症状
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自覚症状としては、下痢、(粘)血便が主症状です。病変は、直腸から連続的
に上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に広がるので、
腹痛、発熱、倦怠感、体重減少、貧血等の全身症状や、免疫異常の影響と思わ
れる関節痛(炎)や皮疹(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)、虹彩炎、浮腫などの
腸管外合併症をともなうこともあります。

分類
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○病変の広がりによる分類(全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎)
○病期による分類(活動期、寛解期)
○重症度による分類(軽症、中等症、重症、激症)
○臨床経過による分類(再燃寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型)

重症度分類
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排便回数(6回以上)、顕血便、発熱(37.5以上)、頻脈(90/分以上)、
貧血(Hb10g以下)、赤沈(30mm/h以上)の6項目により重症、中
等症、軽症と分類します。この基準に加えて、15回/日以上の血性下痢、
38℃以上の持続する高熱、10,000/mm3以上の白血球増多、強い腹痛
があれば劇症型とされます。

診断・検査
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上記臨床症状からこの疾患を疑い、大腸内視鏡検査でびまん性の炎症所見や多
発性のびらん、偽ポリポーシス等を認め、活動期の生検組織検査では、粘膜全
層にびまん性炎症性細胞浸潤、陰窩膿瘍、高度な杯細胞減少が認められます。
また上記変化は通常直腸から連続性に口側に見られ、下記の様な鑑別疾患が除
外されれば診断されます。血液検査では、炎症による白血球の増加、赤沈の増
加や貧血が認められ、重症度基準にも含まれています。

鑑別診断
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クローン病、薬剤性大腸炎、虚血性大腸炎、腸型ベーチェットや細菌性赤痢、
アメーバー性大腸炎、サルモネラ腸炎、大腸結核、カンピロバクター腸炎等
の感染性腸炎があります。

治療
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完治を目指すというよりも、寛解導入し長期に腸の炎症を抑えることが目標と
なります。日常生活では、腸に負担をかけない低残渣食にしたり、脂肪制限を
することにより腸の安静を保ち、ストレス環境を避けるように心がけます。薬
物療法としては、軽症・中等症ではアミノサリチル酸(サラゾピリンやペンタ
サ)、無効例や重症例では副腎皮質ステロイド薬にて寛解導入を行います。寛
解維持には免疫抑制剤が使用されることもあります。重症例や内科治療に不応
な慢性持続例、大量の出血、穿孔、癌やその疑い例では外科的切除の適応とな
ります。その他、血液中から異常に活性化した白血球を取り除く目的で、血球
成分除去療法や抗TNFα受容体拮抗薬の注射が行われることもあります。

予後
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重症度が重いほど、また罹患範囲が広いほど手術率、死亡率が高くなりますが、
近年の報告では、重症な一部の患者を除けば、ほとんどの患者の生存率は健常
人と差がないという報告もあります。ただし、罹患範囲が広く、長期経過例で
は炎症を母地とした癌が発生しやすく、欧米の報告では、全体の累積癌化率は
10年で0~5%(全大腸炎型は6.3%、左側大腸炎型で1%、直腸炎型で
はリスクはない)、20年で8~23%、30年では30~40%と高くなっ
ています。

引受査定のポイント
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現症は、死亡保険も医療保険も引受延期の方がいいでしょう。
既往症は、寛解数年間は、死亡保険は保険金削減、医療保険は引受延期~部位
不担保等の条件付きでの引受が可能と思われます。それ以後は死亡保険も医療
保険も標準体での引受が可能と思われますが、50才以上の場合は保険料割増
等の条件を加えたり、厳しくした方がよいでしょう。

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