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◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 138◆◇ 2016.2.2

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膵充実性偽乳頭腫瘍(SPT:Solid Pseudopapillary tumor)
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膵充実性偽乳頭腫瘍(SPT)は、若年女性の膵臓に出来る分化方向不明な上
皮性腫瘍で、腺房細胞由来の嚢胞性腫瘍です。症状としては、上腹部痛が多く、
大きくなれば、腹部の腫瘤として自覚されます。

なお、膵臓はみぞおちの背中側にある臓器で、主に蛋白質を消化する酵素を分
泌する作用(外分泌機能)と、血糖や代謝を調節するホルモンを作る作用(内
分泌機能)を担っています。

疫学
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症例数が少ない腫瘍です。色々な施設の報告がありますが、1979~
1999年の大規模302例については、20~30代の若年齢に多く(平均
29.9才)、約9割は女性(86.6%)であることが特徴です。大部分は
良性ですが、悪性例も約2割(18%)認められます。

なお、20才未満の児童福祉法では、小児慢性特定疾病治療研究事業を法律で
規定しており、【膵充実性偽乳頭腫瘍】は、消化器疾患ではなく、悪性新生物
での登録疾患となっており、一定の基準を満たせば、医療費の助成が受けられ
るようです。

病理組織
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本来は充実性腫瘍ですが、時間経過により出血・壊死・石灰化などの退行性変
化が起こります。嚢胞成分と充実成分との混在が特徴的で壁の石灰化の頻度も
高いです。病理組織学的には、腺房細胞類似の腫瘍細胞の充実性ないし偽乳頭
状の増殖が認められ、腫瘍は、毛細血管を間質として、出血、充血、変性壊死
などが見られます。

診断
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造影CTでは境界明瞭な球形の腫瘤で内部は充実性+嚢胞成分が種々の程度で
混在しています。超音波内視鏡(EUS:Endoscopic Ultrasound)では薄い
皮膜と充実性部分と嚢胞性部分の混在や被膜部に石灰化を認めます。その他、
超音波エコー、MRI、MRCP、PET-CT検査が行われることがあり、
線維性被膜の中に、充実性の部分と出血、泥状の液体貯留の生じた偽嚢胞部分
が種々の程度で混在した所見が認められます。

鑑別診断
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膵管内管状乳頭腫瘍(ITPN)、膵内分泌腫瘍(PNET)、膵腺房腫瘍、
膵仮性嚢胞、膵臓がん、ラ島腫瘍、膵芽腫、漿液性嚢胞腫瘍(SCT)、粘液
性嚢胞腫瘍(MCN)等があります。

治療
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徐々にではあるものの、大きくなっていくと肝臓やリンパ節に転移することも
あるので、診断がつけば腫瘍を摘出することが一般的です。肝やリンパ節への
転移、局所再発がなければ、予後良好と言われています。

予後
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徐々に大きくなる腫瘍ですが、線維性被膜で覆われ、浸潤性発育が少ないため、
一般的には予後は良好と言われています。しかし、一部に肝臓やリンパ節に転
移する症例もあります。
再発はないという報告(国立がんセンター東病院、広島大学)もありますが、
わずか数%に再発・転移・死亡例が認められたという報告(札幌医科大学、
学会での302例の報告)もあるので、摘出術後一定期間は経過観察が必要と
考えられます。

引受査定のポイント
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(若年女性に多くまれな疾患です。)

現症は、死亡保険も医療保険も一旦引受延期とした方がよいでしょう。
既往症は、浸潤や再発がなく、臨床上完治の場合は引受可ですが、それ以外は、
死亡保険は保険金削減等の条件付~標準体での引受、医療保険は引受延期~
標準体での引受とした方がいいでしょう。

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ご意見・ご質問はinfo@hokensatei.comまでお寄せください。

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