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◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 134◆◇ 2015.11.11

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特発性拡張型心筋症
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特発性拡張型心筋症は、心内腔の著明な拡大と高度な収縮不全を呈する特発性
心筋症の一つで、高血圧、弁膜症、虚血性心疾患など明らかな原因がないもの
をいい、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されています。

疫学
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平成24年度衛生行政報告例は25233人です。5%に家族内発症が認めら
れたという報告もあり、遺伝的素因の関与も考えられています。またこの調査
は病院を受診した人数なので、実際にはこれより多い可能性があります。年齢
帯では60歳代が男女共最も多く、男女比は2.6:1と男性に多いです。

原因
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かつては原因不明とされていましたが、近年では家族性(遺伝子の異常)や、
ウイルス性心筋炎の関与、自己免疫による原因が考えられています。その他、
アルコール、高血圧、動脈硬化、妊娠、感染等の複数の因子が関与しているこ
とも少なくありません。

重症度
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軽症、中等症、重症、最重症の4段階に分類されます。その基準となる項目も
4つあり、中等度以上が難病指定の対象です。
1.活動度制限は、NYHA1度~4度の4段階にちょうど一致しています。
2.不整脈は、期外収縮や心房細動や心室頻拍の有無や持続により4段階に分
  けます。
3.心不全や不整脈での過去1年間の入院歴(回数)で4段階に分けます。
4.BNPやNTPの数値により4段階に分けます。

症状
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初期には自覚症状は乏しいです。しかし、まず動悸や呼吸困難などの症状が労
作時や運動時に生じ、病期が進行すると安静時にも生じます。さらに、浮腫や
不整脈も生じ、特に心室頻拍は急死の原因となります。逆に脈が遅くなる房室
ブロックが見られることもあります。その他易疲労感、胸部圧迫感、皮膚蒼白、
肝腫大、腹水等の心不全症状が見られることがあります。

診断・検査
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診断基準にある項目としては、上記自覚症状の他、聴診(収縮期雑音、奔馬調
律)、胸部レントゲンでの心拡大、心電図(ST異常、不整脈、左房負荷、異常
Q波等)、心エコー、左室造影、冠動脈造影、心筋シンチ、MRI、運動耐容能、
心筋生検、家族歴、遺伝子検査等があります。

鑑別診断
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肥大型心筋症、心サルコイドーシス、心アミロイドーシス、ミトコンドリア心
筋症等の代謝性疾患に伴う心筋疾患、アルコール性心疾患、筋ジストロフィー
等の神経・筋疾患に伴う心筋疾患、栄養性心疾患、結合組織病に伴う心筋疾患
等があります。

予後
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慢性進行性のことが多く、我が国における心移植適応例の80%以上はこの病
気です。5年生存率は76%で死因の多くは心不全または不整脈で、突然死の
発生もまれではありません。男性、高年齢、家族歴、NYHA3度以上の心不
全、心拡大、心室内腔の拡大、左室駆出率の低下は予後が悪くなります。

治療
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心不全に対する治療がメインとなります。適切な水分、塩分、体重管理等の規
則正しい日常生活と共に、ARBやβ遮断薬、利尿剤、強心剤等の薬物療法が
重要です。不整脈を防ぐために抗不整脈や刺激伝導系に異常がある場合にはペ
ースメーカーや、心機能低下による突然死のリスクが高い方の場合には植え込
み型除細動器の使用も検討します。
最重症心不全の方には心臓移植術を行います。2010年の臓器移植法以降増
加はしましたが、日本でのドナーはまだ少なく、移植までの期間も長いので、
補助人工心臓治療を行ったり、左室縮小形成術や僧帽弁形成術などの外科治療
が行われることもあります。

引受査定のポイント
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拡張型心筋症と確定診断されれば、死亡保険、医療保険ともに引受は不可と
なるでしょう。

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ご意見・ご質問はinfo@hokensatei.comまでお寄せください。

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