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◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 119◆◇ 2015.3.3

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僧房弁逸脱症候群(MVP)
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心臓には4つの部屋と4つの弁があり、僧房弁(そうぼうべん)は、左心房と
左心室の間に位置し、2つのフラップから構成され、心臓の筋肉とは腱索とい
う組織で繋がれており、ちょうどパラシュートの様な構造になっています。
そして、収縮期には密閉保持されていますが、僧房弁逸脱症候群(MVP)で
は、密閉されるはずのフラップが非薄化や伸長により左心房に向かって内側に
伸びる(逸脱する)疾患を言います。

原因・疫学
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最も一般的な原因は、僧帽弁および腱索の粘液腫様変性(弁の膨隆や余剰)
です。この変性は通常特発性ですが、常染色体優性またはX連鎖劣性の形式で
遺伝することもあります。粘液腫様変性は、マルファン症候群、骨形成不全症、
弾性繊維性仮性黄色腫、SLE、結節性多発動脈炎等の結合織疾患および、筋
ジストロフィーによっても引き起こされます。一般人口の1~5%と比較的多
くの人に認められると推定されています。

症状
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無症状のことが多いのですが、重症になると動悸や胸痛、呼吸困難、眩暈、片
頭痛等の自覚症状が生じます。動悸は情動ストレスによる不整脈が原因と考え
られ、これには心房性期外収縮、発作性心房性頻拍、心室性期外収縮、心室性
異所性収縮があります。逸脱に伴い、僧帽弁閉鎖不全(MR)を合併している
ことが多く、慢性的に続くと心不全、心内膜炎、血栓塞栓とそれに伴う脳卒中
もまれに生じます。

検査
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聴診器による診察では、収縮中期にカリッというクリックが聴かれます。
MRを伴うMVPでは収縮後期にMR雑音を伴うクリックが聴かれます。
逸脱した弁が正常な位置に戻る事により起こる拡張早期開放音もまれに聴かれ
ますが、確定診断は心エコーによりされます。逸脱の部位、程度、逆流の程度
を測定します。軽症群は、左房方向に僧帽弁が反り返ってはいますが、弁輪を
越えるまでには至ってないもので、重症群は左房内に逸脱した僧帽弁が僧帽弁
輪を結んだ線を越えて左房内に逸脱しているものと考えられます。全収縮期の
3mm以上の偏位または、収縮後期の2mm以上の偏位はMVP患者の95%
に認められます。5mm以上の偏位は、より広範な粘液腫様変性、心内膜炎、
僧房弁逆流のリスクの高さを示します。その他トレッドミル等の負荷心電図や
心臓カテーテル、心臓MRIが行われることがあります。

治療
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通常は特に治療は必要ありませんが、動悸や片頭痛、眩暈等の交感神経症状が
ある場合には、ベーター遮断薬が使用されることもあります。心房細動やその
他の不整脈の合併症がある場合には、そちらの治療に準じます。重症のMRを
合併して症状がある場合などは、手術が行われます。僧房弁を修復して自己弁
を温存する僧帽弁形成術や人工弁を使う人工弁置換術があります。腱索の断裂
や逸脱が著しい場合には早期の手術がいいとされています。

予後
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MVPの予後は通常良好ですが、重度の粘液腫様変性はMRをもたらし、左室
または左房の拡大、心房細動等の不整脈、感染性心内膜炎、弁置換術の必要性
や脳卒中のリスク要因となり、死亡の発生率は年間2~4%というデータもあ
ります。(メルクマニュアル)

引受査定のポイント(重症度によります。)
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自覚症状、心電図、心エコー、胸部レントゲン所見で心肥大がなく、大きな逆
流もないことが分かれば、死亡保険は保険金を制限するなどしての引受、医療
保険については延期~引受も考慮できます。
詳細が不明な場合には、死亡保険は保険料割増等の特別条件付での引受、医療
保険は延期としたほうがいいでしょう。若年層ほど査定は厳しくなります。

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ご意見・ご質問はinfo@hokensatei.comまでお寄せください。

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