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◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 116◆◇ 2014.12.26

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産褥熱(さんじょくねつ)
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産褥とは、分娩が終了して、母体の生理的変化が妊娠していない時の状態に回
復するまでの6~8週間の状態をさします。産褥熱とは、一般的に、分娩終了
24時間以降、産褥10日以内に「2日以上、38℃以上の発熱が続く」場合
と定義されています。臨床的には、子宮を中心とした骨盤内感染症とほぼ同義
語として使用されています。(日本産婦人科学会誌60巻6号より)

かつては妊産婦死亡の最も重要な原因でしたが、近年は抗生剤 の内服または点
滴静注により、一般的には約90%が2~3日後には解熱し全身状態が改善し
ます。しかし、発見や診断が遅れたり、ショックやDICにまで重症化した場
合には、生命にかかわる場合や合併症・後遺症が残ることもあります。

原因菌
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原因菌としては、グラム陰性桿菌やバクテロイデスなど嫌気性菌である弱毒菌
およびクラミジアが主体ですが、近年MRSAやVREといった薬剤耐性菌が
出現し、臨床上問題となっています。

誘因
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妊娠中の因子としては貧血、栄養不良、膣の炎症、絨毛膜羊膜炎等の感染症が
あり、分娩中の因子としては前期破水、早期破水、遷延分娩、吸引・鉗子分娩、
帝王切開などの異常分娩があります。産後は産道の裂傷、胎盤や卵膜の遺残、
胎盤用手剥離、大量出血、頻回の内診等があります。
感染経路は、外陰、膣、頸管からの上行性子宮内感染が主です。母体の合併症
としては、妊娠高血圧、糖尿病、自己免疫性疾患、免疫力低下の原因となるス
テロイドホルモン服用、HIV感染や、子宮筋腫(悪露滞留)があります。

病型・病態
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悪露停滞:悪露の排泄がうまくいかず、弱毒菌による細菌感 染が生じたもの
産褥潰瘍:外陰や膣の裂創に生じた外陰炎や膣炎などの感染が潰瘍化したもの
子宮内膜炎:長期にわたる悪露の停滞、子宮内膜の局所感染の結果生じたもの
付属器炎 :感染が子宮から卵管、卵巣に広がったもの(卵管炎、卵巣炎等)
子宮筋層炎:子宮内膜炎が筋層にまで及んだもので下腹部の 強い圧痛がある
骨盤結合織炎:炎症が骨盤内の結合織にまで波及したもので、次第に膿瘍を
       形成し、圧痛性の腫瘤として触れることもある
骨盤腹膜炎:前述の子宮内膜炎、子宮筋層炎、付属器炎、骨 盤結合織炎がよ
      り重症化したもので、直接的にまたは、膿瘍の腹膜内への破綻に
      より生じる
血栓性静脈炎:胎盤剥離部の血栓に感染が生じ、子宮壁静脈 から骨盤内静脈
       や、大腿静脈にも波及することで生じ、大腿部は疼痛が激しく、
       腫大もする
産褥敗血症:感染巣から持続的に病原菌が血液に移行してい る状態で、全身
      状態は初期から不良で、ショックに陥りDICに進展すると予
      後不良となる

症状
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発熱、下腹部痛や子宮の圧痛、悪露、軽度の出血が認められます。感染が骨盤
内へ波及すると重症化し、筋性防御、ブルンべルグ徴候などの腹膜刺激症状を
伴います。会陰の傷、腹壁の傷からの感染では局所の発赤、腫脹、圧痛が見ら
れます。

検査
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血液検査では、白血球の増加、CRPの上昇が認められますが、分娩後数日間
は生理的な経過でも上昇するので注意が必要です。超音波検査では、胎盤遺残、
卵膜遺残、子宮復古不全などが診断の補助になります。悪露、創傷部の分泌物
や血液中の細菌培養検査を行い菌を同定し、薬剤の感受性を調べます。

治療
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悪露停滞、胎盤・卵膜遺残などがあれば除去し、抗生剤が投与されます。培養
の結果、起因菌の特定や薬剤感受性が分かるまでは、抗菌スペクトルの広い広
域ペニシリン、セフェム系が一般的に使用されます。難治性や重症例には抗菌
力の強いカルバペネム系が使用されることもあります。ニューキノロン系は効
果的ですが、乳汁への移行性が高いので、授乳は避けることが望ましいです。
感染が長期化し、一旦膿瘍を形成した場合には、切開排膿、ドレナージ、さら
には外科的に感染巣を除去することもあります。

引受査定のポイント
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現症については、死亡保険も医療保険も一旦は延期としたほうがよいでしょう。
既往症については、後遺症や合併症がなければ標準体での引受で問題ないでし
ょう。後遺症や合併症がある場合には、該当する項目で評価します。

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ご意見・ご質問はinfo@hokensatei.comまでお寄せください。

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