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◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 106◆◇ 2014.5.30

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本態性振戦
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振戦(しんせん)とは、筋肉の収縮、弛緩が繰り返された場合に生じる不随意でリズミカルな動きのことで、いわゆる「震え」のことです。原因等により何種類もの振戦がありますが、明らかな原因が存在しないものを、本態性振戦といいます。

疫学
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報告により有病率にばらつきはありますが、人口の 2.5~10%と言われています。年齢分布としては20代と60代の二峰性となっています。常染色体優性遺伝の形式の家族性振戦の割合が多いので、家族性振戦のことを特に本態性振戦ということもあります。

症状
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手を前方に挙げて保持するなど、ある一定の姿勢をとった状態で最もはっきりする振戦で、姿勢時振戦と呼ばれます。部位としては上肢(95%)、頭部(34%)、下肢(20%)、声帯(12%)、顔面(5%)などに出現します。手首を進展・屈曲させる様な手、前腕のふるえが最も多いです。振戦周期は4~12Hzの範囲にあり、片側に発症しても、経過と共に両側性になり、左右差はなく対称的です。経過と共に進行し、他の部位にも出現したり、ふるえの振幅も次第に大きくなります。

診断基準
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<診断確実>
1)両側性の手と前腕の姿勢時または運動時振戦で、肉眼的に観察でき持続的
2)罹患期間:5年より長期

<診断可能性大>
1)は同様
2)罹患期間:3年より長期

<本態性振戦疑い例>
type1とtype2があります。罹患期間3年は満たしているものの、パーキンソニズム、ジストニア、ミオクローヌス等の明らかな神経疾患を伴っていたり、他の疾患の症候を部分的に伴う場合をtype1、職業的振戦、振戦が一側手だけの場合や下肢に限局している場合、一次性起立性振戦や声のみの振戦を、type2に含むように定義しています。(Deuschlの診断基準より)

検査
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診断基準にもある通り、本態性振戦の診断は神経学的診察や、家族歴があること、アルコールの飲用で振戦が軽減すること等により診断できますが、診断確定の為には5年以上かかるため、その他の疾患を除外するために、血液検査や、頭部CT、MRIや その他神経学的検査をする必要があります。

鑑別診断(似ているが違う疾患)
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甲状腺中毒症、パーキンソン病、起立性振戦、ニューロパ チー、小脳や赤核、中脳、脳幹の病変(多発性硬化症、脳血管障害)が原因で生じる振戦、書痙、ジストニア、ミオクローヌス、薬剤誘発性振戦等があります。薬剤としては、抗不整脈、抗うつ薬、抗てんかん薬、気管支拡張薬、抗精神薬、免疫抑制剤、化学療法剤、ホルモン剤等があります。

治療
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軽度の場合には、振戦が生じそうな時だけ、交感神経遮断剤や抗不安薬を機会服用しますが、軽症から中等症で日常生活に支障がある場合にはプロプラノールやプリミドン、アロチノロールが第一選択されます。効果不十分の場合や副作用の強い場合、高齢者や合併症で使用できない場合には、第二選択薬として、ベンゾジアゼピン系抗不安薬やガバペンチンやトピラメイトなどの抗てんかん薬が使用されます。それでも効果不十分の場合、ボツリヌス毒素療法(ボトックス局所注射)や、視床刺激療法や視床破壊術、ガンマナイフ等の手術療法が選択されます。振戦の部位が頭部振戦や音声振戦を合併する場合には薬物や手術療法の効果は低く、ボツリヌス毒素療法が有効と言われています。特に高齢者の治療法では、心不全の合併症に注意した薬物療法を行い、手術療法については、認知症の有無や長期効果の必要性を症例ごとに検討と記載されています。(本態性振戦の治療パラダイム 日本神経治療学会)

予後
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現在の治療では根治的治療はなく、特に高齢発症では機能的予後は不良と言われています。予後因子としては、抑うつ、不安、年齢や上肢機能障害がありますが、生命的予後の方は良好といわれています。

引受査定のポイント
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<原因判明している場合>
生理的で一過性のものは引受可として問題ないでしょう。パーキンソン病によるものはその疾患での査定になります。

<原因不明の場合>
最近出現したり、進行増加の場合は延期としたほうがよいでしょう。その他は基本的にパーキンソン病に準じた査定をします。
しかし、治療期間が長い場合や、一過性や機会投与などの場合は緩和してよいでしょう。死亡保険は(割増+削減)~引受可、医療保険については、延期~引受可を考慮できるでしょう。

軽度の書痙は引受可ですが、中等以上は心身症、その他に準じた査定となる
でしょう。合併症がある場合には、そちらの査定も加えます。

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