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◇◆医学豆知識メルマガ Vol. 105◆◇ 2014.5.13

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胸腺腫
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胸腺は、胸骨と心臓の上前部(大動脈弓や肺動脈)の間にあり、Tリンパ球と呼ばれる白血球をつくる臓器です。幼児期から小児期には身体の免疫を担う重要な働きをしていますが、成長に伴って徐々に小さくなり、成人になると退化して脂肪組織になります。胸腺腫は退化した胸腺細胞から発生する腫瘍で、その中でも悪性度の高いものは特に胸腺がんと呼ばれます。

疫学
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日本では、30歳以上の成人に見られ男女差はありません。国内では、毎年15~30名程度の患者が新たに発生すると考えられています。また、合併症として頻度の高いものは、重症筋無力症(24.7%)、低ガンマグロブリン血症(2.6%)、赤芽球癆(0.65%)などです。(呼吸外科学会学術調査より)この他の自己免疫疾患としては、多発性筋炎、SLE、関節リウマチ、甲状腺
炎、シェーグレン症候群などと関係があるとされています。

症状
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腫瘍が大きくなると、周囲の臓器を圧迫したり、浸潤して破壊するため、胸痛や咳、喀痰、呼吸困難などの症状が出ますが、初期には無症状のこともあります。重症筋無力症を合併した場合は、眼瞼下垂、複視、手足の筋力低下、嚥下困難などの症状がみられ、赤芽球癆の合併では、貧血症状がみられます。

検査
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胸部レントゲン検査、胸部CT検査、胸部MRI検査、腹部エコー、PETスキャン、骨シンチ、針生検(含、胸腔鏡、縦隔鏡、開胸)等の検査があります。

鑑別診断
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縦隔に発生するものとして、
◆悪性リンパ腫(ホジキン、MALT、B細胞、T細胞)
◆杯細胞腫瘍(奇形腫、精上皮腫、胎児性癌、絨毛癌)
◆間葉系腫瘍(神経鞘腫、神経節腫、神経芽腫、脂肪腫脂肪肉 腫、血管腫、平滑筋肉腫)等があります。

病期分類
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1981年に正岡により提唱されたものが一般的に使用されています。
1. 完全被覆
2. 被膜浸潤あるいは、または周囲の脂肪か胸膜浸潤
3. 臓器浸潤(心膜、肺、大血管)
4a. 胸膜あるいは心膜播種
4b. 血行性転移

病理分類(胸腺腫のWHO分類)
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1981年に正岡により提唱されたものが一般的に使用されています。

TypeA :完全に切除されれば再発は しない
TypeAB :AとBの混在で臨床的には良性で再 発や転移は稀
TypeB1 :A、ABよりはやや侵襲的だが再発 は10%以下
TypeB2 :軽度悪性でしばしば浸潤。 10%程度が転移を示す。
TypeB3 :中等度悪性で、ほぼ全てが浸 潤で20%程度まで転移。
TypeC :胸腺がんと言われています。発生率は非常に低いです。

治療
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手術療法は最も一般的な治療法です。悪性の場合には、術後に放射線療法が予防的に追加で行われることもあります。放射線療法には、体外照射と、針、シーズ、ワイヤー等を癌の近くに直接留置して放射線を照射する体内照射があります。化学療法は内服したり、筋肉や静脈に注入することにより、がん細胞の増殖を停止させたり、殺傷する治療法です。ホルモン療法は、がん細胞の増殖を抑えるホルモンを使用する治療法でコルチコステロイドと呼ばれる薬剤が使用されます。

予後
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胸腺腫の5年生存率は病期にもよりますが、約78%で、胸腺がんの予後は悪く、5年生存率は約30~50%です。(米国腫瘍学臨床診療ガイドライン2012年より)

引受査定のポイント(手術、合併症の有無)
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現症は、医療保険は延期でしょう。死亡保険も基本的には延期ですが、生検や診断書等で明らかに良性とわかる場合には、条件付きでの引受も考慮できるでしょう。 既往症の場合は、診断書等により悪性が否定されれば引受可としてよいでしょう。その他は、悪性腫瘍の基準に準じます。また、合併症がある場合には、そちらの査定も加えます。

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